(1) 現行法の内容とその問題点 現代生活において、水道、下水道、ガス、電気、電気通信等のライフラインは必要不可欠ですが、他人の土地や他人の設置した導管等を経由しなければ、ライフラインの導管等を引き込むことができない土地もあります。民法は、ライフラインの技術が未発達の時代に制定されたため、民法第220条や、第221条等を除き、各種ライフラインの設置における他人の土地等の使用に関する規定を置いていま 続きを読む
民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案 第1の2 竹木の枝の切除等
2 竹木の枝の切除等 (1) 現行法の内容とその問題点 民法第233条第1項は、「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。」としています。そのため、竹木の所有者が枝を切除しない場合、越境した竹木の枝により土地の利用が妨げられている土地の所有者は、竹木の所有者の所在を探索した上で、訴訟を提起して、請求認容判決を得た上で、強制執行を申し立てる必要があり 続きを読む
民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要綱案 第1の1 隣地使用権
1 隣地使用権 (1) 現行法の内容とその問題点 現行の民法209条1項は、「土地の所有者は、境界又はその付近において障壁又は建物を築造し又は修繕するため必要な範囲内で、隣地の使用を請求することができる。ただし、隣人の承諾がなければ、その住家に立ち入ることはできない。」と定めています。 しかし、 ① 例えば庭石を移設する工事等、同項に挙げられていない工事等の際に、隣地の使用を請求できるかは必ずしも 続きを読む
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の解説(3)
前回まで、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(以下「法」といいます。)について、その制度内容の一部を解説しました。 今回は、表題部所有者等を特定した場合や特定できなかった場合の措置や制度、利害関係人が関与する場合の手続きについて解説します。 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の解説(1) 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の 続きを読む
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の解説(2)
前回は、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律(以下「法」といいます。)について、その目的や趣旨を解説しました。 表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の解説(1) 今回は、このたび法律が創設した制度内容のうち、「表題部所有者不明土地について、所有者の探索に関する制度」について詳しく解説します。 1 所有者等の探索の対象となる地域の選定基準 法では、登 続きを読む
表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律の解説(1)
1 表題部所有者不明土地 現在の土地の登記簿には、「表題部」という欄があります。これは、昭和35年の不動産登記法の改正により創設された制度で、土地の表示や地番、所在、地目等が記載された部分です。この「表題部」には「所有者」欄がありますが、ここに記載される所有者を「表題部所有者」といいます。 表題部欄を創設した際、不動産登記簿の表題部所有者欄は、その当時存在した土地台帳の記載が移記されました。しかし 続きを読む
<共有持分の放棄>共有持分放棄が機能する場合
1.共有持分放棄の概要 「共有」とは、1つの物を複数人が所有する共同所有のうち、各人が持分を有しこれを自由に譲渡できる法形式をいいます(民法249条)。 「共有持分」とは、共有関係に基づいて各人が有する持分のことです。共有持分は放棄することができます(民法255条)。放棄した共有持分は他の共有者に帰属することになります。 共有持分放棄の手続は、比較的簡単に行うことができます。 (具体的内容は、下記 続きを読む