コラム

放置空き家(管理不全空き家)が減税対象外に

2023/02/15
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1.はじめに

放置されている空き家については、「特定空き家」に該当しない限り、これまで固定資産税を軽減する(3分の1から6分の1)という住宅用地特例制度による優遇税制が適用されてきました。しかしながら、その優遇税制が変わろうとしています。

すなわち、「特定空き家」に至らない「管理不全空き家」について住宅用地特例優遇税制の適用が無くなる結果、固定資産税の負担が大幅に増加することになる場合があります。

固定資産税の増加を嫌い、空き家を放置してきた方についても、多額の固定資産税の負担を余儀なくされる可能性があります。したがって、固定資産税対策としても、空き家の処分や除却を検討する必要があります。

詳しい内容は以下のとおりです。

 

 

2.管理不全空き家に関する税制優遇の内容

国土交通省の有識者会議は令和5年1月31日、放置された空き家の活用促進策をまとめ、提言を示しました。政府はこれをもとに、空き家対策特別措置法の改正案を3月上旬にも閣議決定し、今国会への提出を目指します。

今回改正案が提案された背景には、放置空き家(管理不全空き家)の増加があります。空き家対策特別措置法では、「1年以上住んでいない、または使われていない家」を空き家と定義しており、長期間人が住んでいない空き家は、2018年時点で849万戸、このうち居住目的の無い空き家は349万戸に上ります。今、日本では、地方の過疎化に加え、親から住宅を相続した子供が放置するなど、高齢化に伴う人口減少を背景に、これまでにないスピードで空き家が増加しています。このままでは、2030年頃には470万戸まで増加するとされており、この数は20年前のほぼ2倍です。

政府は、法改正することで、2030年頃の空き家の数を400万戸程度に抑えたい意向です。

そして、改正案の柱となっているのが、管理不全空き家が減税対象外となる、税制優遇の見直しです。以下で解説します。

 

 

3.税制優遇の見直し

⑴ 住宅用地特例について

住宅用地には、固定資産税を軽減する住宅用地特例があります。これは、住宅が建つ土地(すなわち住宅用地)に適用される特例であり、適用されれば住宅が建つ土地にかかる固定資産税が軽減されます。具体的には、小規模住宅用地(敷地面積200㎡まで)は6分の1、一般住宅用地(200㎡を超える部分)は3分の1まで減税されています。

⑵ 「特定空き家」

建物が建っている土地には住宅用地特例が適用されます。

ただし、「特定空き家」についてはこの限りではありません。

まず、「特定空き家」について説明します。

特定空き家とは、

・倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

にある空き家のことをいいます。(空家等対策の推進に関する特別措置法第2条2項)

この「特定空き家」は、所有者が自治体からの管理・修繕の勧告に従わなければ、住宅用地特例から除外できることになっています。

⑶ 「管理不全空き家」について

次に、「管理不全空き家」について説明します。

「管理不全空き家」とは、放置すれば「特定空き家」になるおそれがあるものです。壁や窓の一部が割れたり、雑草が生い茂ったりしている住宅のことを指し、全国で少なくとも24万戸が当てはまります。国交省は、今後「管理不全空き家」の具体的な基準を定めていくとしています。

現在の制度では、「管理不全空き家」は「特定空き家」とは異なり、住宅用地特例の対象であり、税制が優遇されています。

つまり、住宅があったままの場合は、固定資産税が減額されますが、取り壊して更地にすると、6倍もの税金がかかることがあり、これが、所有者が空き家を放置する一因になっているのではないかとの指摘がありました。更地になれば固定資産税が高くつくため、建物をそのまま放置してしまうケースが増えているようです。

今回の見直しで、「管理不全空き家」も税制優遇の除外対象に含まれることになります。

 

 

4.その他のポイント

今回の改正案で、空き家の活用促進策として示されたその他の点について、簡単に説明します。

⑴ 空き家の有効活用

空き家の状態が悪化する前に活用を促進するため、自治体が中心街地や観光地に「活用促進区域」を設けることが提案されました。用途が住宅に限定されている区域の建物でも、カフェや宿泊施設として活用できるよう、規制緩和や回収等にかかる費用の補助拡大を目指します。

⑵ 行政手続きの簡略化

自治体が所有者へ特定空き家の管理について指導・勧告をしても改善されない場合、行政代執行で強制的に解体工事を進めることになりますが、現在の制度では手続きの関係で着手に時間を要します。そのため、緊急時(屋根の瓦が落ちて、災害時の避難経路を塞ぐおそれがある場合など)には勧告などの手続きを簡略化し、自治体が解体を円滑に代執行できる仕組みの新設が検討されています。

 

 

5.最後に

空き家を取り壊して更地にすることで、特例から外れて平均的な宅地になると、固定資産税がそのままかかり所有者が納める税金が増えます。しかし、空き家を放置すると、景観が損なわれるだけでなく、放火や火災のリスクが高まったり、雑草や悪臭など衛生環境の悪化に繋がったりします。また、不法侵入や不法投棄等、防犯の観点でも危険です。除却すべきものは除却し、活用できるものは活用するとの考え方のもと、適切な維持管理を行っていく必要があります。政府は今回の法改正を通じて、自治体や民間企業と連携し、周囲に悪影響を及ぼす前に、空き家の所有者に早期の改修や売却を迫り、放置空き家(管理不全空き家)の減少を目指します。

 

 

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