コラム

空き家、老朽化マンションの検討会立ち上げ

2022/10/27
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1 はじめに

人口減少や高齢化に伴い、空き家や築40年以上の老朽化マンションが全国で増加しています。

このことを受けて、国土交通省は、空き家と老朽化マンションそれぞれについて検討会を立ち上げることを発表しました。

国土交通省によると、空き家については、来年1月頃の取りまとめに向けて、また、老朽化マンションについては、来年夏頃の取りまとめに向けて、今後進めるべき政策について幅広く検討していくとのことです。

 

2 空き家問題と老朽化マンション問題の現状

国土交通省によると、全国の空き家は849万戸に上り、今後の人口減少や高齢化社会の進行により更に増加すると見込まれています。空き家は衛生面や景観の悪化などをもたらし、近隣住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。さらには、適切に管理されていない空き家があるだけで、近隣不動産の資産価値の低下や、不審火等の防犯性の低下のおそれがあることも指摘されています。

一方で、築40年以上の老朽化マンションは、昨年末時点で全国におよそ116万戸あります。一部の老朽化マンションでは除却の代執行等を行政が行うなど、行政において金銭的負担が生じているものもあります。昭和45年以前に建築されたマンションの入居者は、2018年時点で53%が60歳以上のみの世帯となっており、管理組合の担い手不足も懸念されています。また、適切な維持管理や修繕がなされていないマンションについては、構造上の安全性の低下や居住環境の悪化だけでなく周辺の住環境や都市環境の悪化といった様々な問題を引き起こす可能性があります。ただ、多くの所有者が一つの建物を区分所有するマンションについては、価値観や経済状態が異なる所有者が集まって暮らしており、大規模な修繕等の合意形成を図ることが難しいという問題があります。

 

3 検討内容について

空き家については、除却等の取組みの充実や、空き家の発生抑制、利活用の促進、適切な管理など、総合的な対策を検討するようです。

また、老朽化マンションについては、建替え等が必要なマンションの再生をより一層円滑化するとともに、修繕積立金の安定的な確保など、現存するマンションを長寿命化する取組みも強化していくようです。

 

4.老朽化マンションに関する区分所有法上の対応

なお、所有者不明建物に関連する法制度のうち、所有者不明土地建物管理命令制度、管理不全建物管理命令制度は、現時点で区分所有建物には適用がありません(改正後区分所有法6条4項)。これは、現時点で区分所有法において建物の管理に関する特別のルールが定められているためです*1

国土交通省の検討会では、老朽化マンションの建替えや長寿命化に関連する課題として、管理不全、所有者不明となっている区分所有建物についても、何らかの検討・提言がなされるものとも思われます。

赤坂門法律事務所としても、国土交通省の検討会の動きについては今後注視していきたいと考えています。

 

 


*1 法務省解説217頁参照。

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