抵当権内容不明問題
はじめに
登記簿に書かれている抵当権の内容が良く分からない
相続した不動産や、購入した不動産に書かれている抵当権の内容が分からない。
相続した不動産の登記に記載されている抵当権の内容に心当たりがない、大昔に設定された「債権額100円」の抵当権など、債務はもう残っていないが抵当権だけ残っている、という場合があります。
このように、内容が分からない抵当権の抹消について、弁護士がお手伝いできることがあります。
抹消の方法
担保権は債務が消滅しても登記から当然に削除されるわけではありません。登記から抹消するためには担保権抹消登記を申請する必要があります。
担保権抹消登記の申請は、原則として、不動産の所有者と抵当権登記名義人が共同で申請しなければなりません。そのため、登記名義人を探し出す必要があります。
無事に登記名義人を探し出すことができ、抵当権の抹消に同意してくれるのであれば、抵当権を抹消することができます。
しかし、登記名義人が同意してくれない場合や、その行方が分からない場合等には、抵当権抹消登記手続を求める訴訟を提起し、抵当権を抹消することになります。
解決までの流れ
ご相談
まずは弊事務所にて御相談頂きます。
この際、不動産の住所・状況、抵当権の内容などについて細かくお伺いします。
費用をご説明させていただき、ご了承いただければ、委任状及び委任契約書を締結のうえで事件に着手させていただきます。
抵当権名義人の調査
戸籍の附票等(個人)、登記簿謄本(法人)を利用して名義人の状況調査をします。
まず、不動産の登記事項証明書を法務局で取得します。
当該住所で住民票が取得できれば、下記③の「名義人の所在が判明した場合」以下の流れで名義人と交渉を開始します。
住民票の除票が取得でき、転居している場合には、転居先の住民票を取得して名義人の住所を特定したうえで名義人と交渉を開始します。
名義人がすでに死亡している場合には、戸籍等で名義人を特定します。
個人の場合と同様、不動産の登記事項証明書には登記名義人である法人の名称と所在地の記載があります。登記事項証明書から法人の所在地を確認します。
名義人の調査結果
名義人の所在等が判明した場合
- まずは名義人に対して抵当権の内容を問い合わせます。
抵当権の被担保債権が消滅しているなど、抵当権の実体がない場合には、名義人と抹消登記の交渉をします。
抹消登記について同意が取得できれば、抹消登記の手続に移ります。その際、抵当権の内容について確認し、必要な措置をとります。 - 同意が取得できない場合や名義人の所在等が判明しても応答がない場合などは、抹消登記を求めて裁判所に訴えを提起して抹消を求めます。
名義人の所在等が判明しない場合
公示催告手続、又は、訴訟において公示送達手続をとることにより、抹消登記を行います。
公示催告手続とは…
登記権利者は、登記義務者の所在がしれないため登記義務者と共同して権利に関する登記の抹消を申請することが出来ない時は、非訟事件手続法に規定する公示催告の申し立てをして、除権決定を得ることにより、単独で登記の抹消を申請することができます。
この方法は、休眠担保権だけでなく、登記義務者が行方不明となっている地上権など(いわゆる休眠用益権)についても利用することができます。
- 登記簿謄本が取得できない場合
公示催告手続を行うことになります。 - 登記簿謄本が取得できるが、その場所に法人の実態が無い場合
裁判所に清算人の選任申立てを行ったうえで、
・清算人より抹消登記の同意を取得する(但し、難しいと思われます)
または
・清算人に対して抹消登記請求訴訟を提起するということになります。
登記手続について
登記手続は、当事務所と連携する司法書士事務所にて手続させて頂きます。
弁護士に抵当権抹消登記手続を任せるメリット
以上のように、抵当権名義人(=登記義務者)の承諾が得られるのであれば、抹消登記の手続は比較的スムーズに進みます。
ところが、抵当権名義人の調査だけでも、例えば抵当権名義人が死亡しており相続人が多数に及ぶような場合には、各相続人への連絡などが煩雑になりますし、抵当権名義人を探し出せたとしても、登記の抹消に応じてくれない場合や、そもそも抵当権名義人を探し出せなかった場合には、訴えを提起しなければなりませんが、このように面倒な調査や訴訟手続については、専門知識を有する弁護士が対応しますので、ご安心ください。
弁護士費用について
弁護士費用は、対象となる不動産の価格、共有持分権者の数や必要な手続の見込みなどにより大きく変動します。
原則として、旧弁護士報酬基準により算定させて頂きますが、ご相談の際に詳細に説明させていただきます。