所有者不明土地問題
はじめに
例えば、共有不動産について共有者の名義人が誰かわからなかったり、所在が分からなかったりした場合、共有物を譲渡・処分することはできません。
また、空き家となっている隣家が今に壊れそうだ、といった場合に、不動産の名義人がそもそも不明であれば何も対処ができません。いわゆる、所有者不明土地問題ともいわれます。
長期間利用している土地建物の名義人が、調べてみると赤の他人だった…ということもまれにあります。
今後、立法による解決が模索されておりますが、立法によってもすべての問題が解決されるわけではありません。
解決方法
このように、所有者がわからずに困った…という場合には、その登記名義人を探し出す必要があります。
無事に登記名義人を探し出すことができれば、その後の見通しが立ち、問題解決に向けての足がかりとなります。
名義人判明までの流れ
ご相談
まずは弊事務所にて御相談頂きます。
この際、不動産の住所・状況や所有権の内容についてお伺いします。
名義人の調査
戸籍の附票等(個人)、登記簿謄本(法人)を利用して名義人の状況調査をします。
まず、不動産の登記事項証明書を法務局で取得します。
相続人が確認できれば、各自の戸籍の附票を取得して相続人の住所を確認します。
※住民票の除票・戸籍全部事項証明書は弁護士の職務上請求により取得します。
弁護士の職務上請求とは…
戸籍謄本や住民票の写しなどは、本人やこれに準ずる者でない第三者が自由に取得できるわけではなく一定の要件を満たす必要がありますが、弁護士であれば一般の場合に比べて異なる要件の下で認められています。
個人の場合と同様、不動産の登記事項証明書には登記名義人である法人の名称と所在地の記載があるので、登記事項証明書から法人の所在地を確認します。
法人の所在地に、法人が実在しているか否かを確認したうえで、手続きを進めます。
名義人の調査結果
名義人の所在等が判明した場合
所在が判明した名義人との交渉、訴訟手続き等に進んでいきます。
例えば、空き家により現に被害を受けている場合には、空き家の撤去交渉や各種訴訟調停・訴訟手続等を視野に手続きを進めていくことになります。
名義人の所在等が判明しない場合
所在が判明しないことを前提として、訴訟や調停などの各種法的手続きを進めていくことになります。
このとき、不在者財産管理人の制度や、法人の清算人制度なども利用して、手続を進めていくこともあります。
弁護士費用について
弁護士費用は、対象となる不動産の価格、共有持分権者の数や必要な手続の見込みなどにより大きく変動します。
原則として、旧弁護士報酬基準により算定させて頂きますが、ご相談の際に詳細に説明させていただきます。