解決事例

大正時代に設定された賃借権登記について、賃借人の相続人を探索したうえで訴訟により抹消登記請求を行った事例

2022/04/25
ツイート

1.事案の概要

(1) 依頼者

ご依頼者は、東京都内の地主様です。

(2) 土地の現状と今後の予定

対象となる土地については、従前駐車場として利用されていましたが、処分するご意向でした。

(3) 依頼のきっかけ

土地を処分するに際して登記簿を調査したところ、大正時代に設定された賃借権登記があることが判明しました。処分にあたり事前に賃借権登記を抹消したいとのご相談です。

(4) 問題点

登記名義人の住所が旧住所で現在の住所の特定もままならない状況でした。連絡先ももちろん不明です。大正時代の登記ですので、ご依頼者様のもとには、賃借権に関する記録も残っていない状況でした。賃借権抹消登記を行うためには、相続人の方の連絡先を把握する必要がありました。

 

2.解決方法と解決までの経緯

(1) 登記名義人の相続人調査

登記上の住所をもとに戸籍を取り寄せたところ、賃借権の名義人はかなり前に亡くなっていることが判明しました。そこで、戸籍により相続人調査したところ、法定相続人が判明しました。幸いなことに、法定相続人は1名であることも同時に判明しました。

戸籍の附票により現住所を把握することもできました。

(2) 登記抹消のお願い文書送付

相続人の現住所に登記抹消のお願い文書を送付しました。

文書送達後2週間を目途として送付しましたが、お返事がありませんでしたので、その旨を改めて予告したうえで訴訟提起しました。

(3) 賃借権登記抹消登記請求訴訟

訴訟では、相続人の出廷はなく、当方の賃借権抹消登記請求を認める判決が下されました。具体的には、相手方に対して抹消登記を命じる判決が下され、当該判決に基づき

その後、登記に基づき、借地権の抹消登記が行われました。

 

3.弁護士コメント

(1) 賃借権抹消登記請求訴訟について

本件のように、過去の賃借権がそのまま残っている場合において、処分の際に必要なときは、賃借権の相続人にその抹消登記の協力を求めることになります。しかし、協力が見込めない場合も多く、その場合には、相続人に対して抹消登記を命じる判決を取得し登記手続を行う必要があります。

本件は相続人が1名だけでしたが、多くの場合には相続人が複数に及びます。相続人が多数の場合には任意で抹消登記を行うことは期待できず、訴訟手続により抹消登記に必要な判決を取得することを目指す必要があります。

賃借権の抹消登記請求訴訟においては、賃貸借契約が終了したことを主張・立証する必要があります。この点については弁護士や司法書士等の専門家による助言やアドバイスが必要です。

(2) 弁護士費用等について

本件のような賃借権抹消登記請求の場合、相続人調査及び訴訟の着手金を合わせて50万円+消費税、抹消登記に成功した場合には、50万円+消費税を最低金額として成功報酬金を頂戴することが一般的です。但し、事案により異なりますので、具体的には受任時にご説明させて頂くことになります。

 

※本件は、守秘義務の関係上、全体の趣旨を損なわない程度で内容を改変しています。

お問い合わせ、
弁護士相談のご予約

そもそも相談するようなことなのか?と思われる場合でも、
遠慮なくお問い合わせいただくのが一番です。
まずはお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

お問い合わせ方法のご案内